ESの研究概要、どう書く?人事・採用担当者に響く「研究内容」の伝え方!
研究職の就職活動において、重要なのがエントリーシート(ES)の「研究概要」です。しかし、「自分の研究内容は専門性が高すぎて、専門外の人事・採用担当者に伝わるだろうか」と不安になる方も少なくありません。
実は、企業の人事・採用担当者は研究概要を通して、単なる専門知識ではなく「あなたが将来、企業で活躍できる人材かどうか」を見ています。この記事では、企業目線で評価されるESの研究概要の書き方について、構成のポイントやテクニックを交えて解説します。
日本総合研究所 創発戦略センター コンサルタント「微生物によるバイオプラスチック生産」を対象とした研究開発の経験を活かし、現職では、政府機関・民間企業に対するバイオテクノロジー・バイオマス由来製品の実装に向けた戦略策定支援、カーボンリサイクル/CCU(Carbon Capture and Utilization)技術の実装に向けた産官学連携のコンソーシアムの企画・運営を担当。著書に「図解よくわかる スマート水産業 デジタル技術が切り拓く水産ビジネス(共著)」「図解よくわかる フードテック入門(共著)」(日刊工業新聞社)。

ESの研究概要、なぜ重要?人事・採用担当者はここを見ている!
企業がESで研究概要を求めるのは、単に「何を研究しているか」を知りたいからだけではありません。人事・採用担当者は、研究テーマそのものの良し悪しではなく、その記述内容から読み取れる「仕事に対する能力や姿勢(ポテンシャル)」を重視する傾向にあります。ESは、第一印象を形成し興味を持ってもらうものとして、分かりやすさを心掛けましょう。
具体的には、主に以下の3つの視点が見られています。
1.論理的思考力
複雑な研究内容を、誰が読んでも理解できるように筋道立てて構成できているかが見られます。「背景→課題→仮説→検証→結果→考察」という論理的なプロセスが、文章の中で矛盾なく展開されていることが重要です。これは、ビジネスや研究の現場でも、複雑な事象を整理し、解決策を導き出す力が求められるためです。
文章で筋道だった研究概要を整理しておくことで、面接など対面で問われた時にも自信を持って語ることができます。今のうちから『伝わる』構成を意識することで、選考を通じてあなたの魅力を最大限に発揮できるはずです。
2.課題解決能力
研究は順風満帆に進むことばかりではありません。直面した壁や課題に対して「どのように捉え」「どのような工夫で乗り越えたか」というプロセスは、入社後の仕事への取り組み方をイメージさせる重要な要素です。単に結果が出たことだけでなく、そこに至るまでの試行錯誤のプロセスこそが、入社後の活躍の証拠として評価されるのです。
3.情報伝達・表現能力
限られた文字数の中で、要点を絞り、魅力的に伝えられているかもポイントです。専門用語を多用せず、平易な言葉で説明できる「翻訳能力」は、社内の他部署や顧客への説明能力として期待されます。
いきなり書くのはNG!通過率を上げる「研究概要」の準備ステップ
質の高い研究概要を書き上げるためには、事前の準備が欠かせません。パソコンに向かっていきなり書き始めるのではなく、以下のステップを踏んで思考を整理することで、読み手に伝わりやすい内容になります。
ステップ1.研究の「骨子」を言語化する
まずは、研究の全体像を以下の5つの要素に分解し、箇条書きで洗い出してみましょう。
- 背景・目的:なぜその研究が必要なのか
- 手法:どのようなアプローチをとったか
- 結果:何が明らかになったか
- 考察:結果から何が言えるか
- 展望:今後どう発展するか
この段階では専門用語を使っても構いません。まずは構成要素を漏れなく抽出することが大切です。
ステップ2.企業の「求める人物像」を把握する
応募先の企業がどのような技術力を強みとしているか、どのような人材を求めているかをリサーチします。例えば、新しい価値創造を重視する企業なら「新規性」や「発想力」を、堅実な品質を重視する企業なら「緻密な検証プロセス」を強調するなど、アピールポイントを調整するためです。
ステップ3.「誰に・何を伝えるか」を明確にする
ESを読む方が、必ずしもその分野の専門家とは限りません。文系の人事・採用担当者が読む可能性も十分にあります。「中学生や高校生でも理解できるか?」という視点を持ち、専門用語を一般的な言葉に置き換える(例:「invivoでの実験」→「生体を用いた実験」など)準備をしましょう。
研究内容が伝わる基本の構成
読み手にストレスを与えず、内容をスムーズに理解してもらうためには、「型」に沿って書くことが有効です。ここでは、評価されやすい基本の構成を紹介します。
1.結論ファーストで惹きつける
冒頭で「私は〇〇を目的とし、△△という成果を上げました」と、「研究の概要」と「最も伝えたい成果」を提示します。最初に全体像を見せることで、人事・採用担当者はその後の詳細な説明を理解しやすくなります。
2.背景と目的で共感を得る
「なぜその研究が必要なのか」を、社会的な課題や業界のニーズと関連付けて説明します。研究の意義を広い視点で語ることで、専門外の人にも「なるほど、それは重要な研究だ」と共感を持ってもらうことができます。
3.アプローチで独自性を語る
課題に対して、あなたがどのように考え、どのような手法を選んだのかを記述します。ここでは教科書的な手法の説明よりも、あなたなりの「工夫」や「試行錯誤した点」を具体的に盛り込むことが重要です。ここにあなたの人柄や能力が表れます。
4.結果と考察で論理的に示す
得られた結果と、そこから導き出される考察を簡潔に述べます。成功した結果だけでなく、予想外の結果からどのような知見を得たかを示すことも、研究者としての誠実さや分析力を示すアピールになります。
5.入社後の貢献について伝える
最後に、その研究活動を通して得たスキル(実験手技、解析能力、粘り強さなど)や知見を、入社後にどう活かせるかで締めくくります。「研究内容」と「仕事」を結びつけることで、人事・採用担当者はあなたの活躍する姿を具体的にイメージできます。
ライバルと差がつく!ESの研究概要を魅力的にするテクニック
基本構成を押さえた上で、さらに評価を高めるためのテクニックをいくつか紹介します。少しの工夫で、人事・採用担当者の記憶に残る魅力的な研究概要になります。
テクニック1:研究という名の「挑戦ストーリー」を語る
単なる事実の羅列ではなく、研究プロセスにおける「ドラマ」を盛り込みましょう。実験の失敗、仮説の崩壊など、直面した困難に対して「どう感じ、どう考え、どう行動して乗り越えたか」という泥臭いプロセスこそが、あなたの課題解決能力やストレス耐性の証明になります。綺麗な結果だけを書くよりも、人間味が伝わり好印象です。
テクニック2:研究に「キャッチコピー」をつける
研究概要のタイトルの工夫も効果的です。単に「〇〇の合成について」とするのではなく、「副作用のない新薬創出へ挑む:〇〇の新規合成法の確立」のように、研究の社会的意義やゴールが一目でわかるキャッチコピーをつけましょう。多くのESを読む人事・採用担当者の目を引き、「中身を読んでみたい」と思わせるフックになります。
テクニック3:企業の「キーワード」を盛り込む
志望企業のウェブサイト、中期経営計画、社長メッセージなどを確認し、そこで使われているキーワード(例:「環境負荷低減」「次世代ヘルスケア」「イノベーション」など)を、自身の研究概要の中に自然に盛り込みます。「私の研究は、御社が目指す〇〇の実現にも寄与できる視点を持っています」というメッセージになり、企業理解度と志望度の高さをアピールできます。
自信が持てる「研究概要」で、納得のいく就職活動を
ESの「研究概要」は、あなたのこれまでの努力と将来の可能性を企業に伝えるためのプレゼンテーション資料です。 専門性を分かりやすく翻訳し、企業への貢献意欲と結びつけることで、強力なアピール材料となります。
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