バイオ系研究職のエージェント活用のすゝめ!派遣のさまざまな働き方

バイオ系の研究職は検索のサジェストでも「就職難」というワードが表示されるほど雇用の間口が狭いことで知られています。就職難の理由はさまざまですが、他のポジション(職種)比較ではバイオ系研究職の採用人数が少ないことで競争率が高くなっていることが一因です。

そのような環境下では、正社員雇用だけでなく、派遣を視野に入れるのも1つの方法です。バイオ関連企業への就職・転職に加え、自身の指向性に合う研究に携われる可能性も高まります。バイオ関連企業の求職者に向けて、バイオ系研究職における3つの派遣の種類、派遣で働くメリット・デメリットについて解説し、エージェント活用がなぜ有利なのかについても説明します。

監修者プロフィール

福山篤史氏
日本総合研究所 創発戦略センター コンサルタント
「微生物によるバイオプラスチック生産」を対象とした研究開発の経験を活かし、現職では、政府機関・民間企業に対するバイオテクノロジー・バイオマス由来製品の実装に向けた戦略策定支援、カーボンリサイクル/CCU(Carbon Capture and Utilization)技術の実装に向けた産官学連携のコンソーシアムの企画・運営を担当。著書に「図解よくわかる スマート水産業 デジタル技術が切り拓く水産ビジネス(共著)」「図解よくわかる フードテック入門(共著)」(日刊工業新聞社)。
福山篤史氏

バイオ系研究職における3つの派遣の種類

バイオ系研究職の派遣として働く女性

バイオ系研究領域の職を希望する場合は、正社員採用だけではなく、派遣会社やエージェントを活用した「派遣」という働き方も選択肢に入れることをおすすめします。派遣には主に「人材派遣」、「紹介予定派遣」、「正社員型派遣」の3つがあるので、それぞれの違いや特徴を解説します。

勤務条件を自ら選べる「人材派遣」

「人材派遣」とは、人材派遣会社が派遣社員との間に有期雇用契約を締結し、派遣先の企業で仕事に従事してもらう仕組みです。派遣社員は派遣先で働きますが、契約は人材派遣会社との間に結ばれており、そこから給与を受け取ったり、福利厚生の提供を受けたりします。ただ、現場での指揮命令権は派遣先の企業にあります。人材派遣と聞いてイメージするもっとも一般的な労働形態といえるでしょう。

2015年の労働者派遣法が改正され、同じ組織で派遣業務に従事できる期間の合計が3年になりました。さらに2020年には、働き方改革の柱として不合理な待遇差の解消に向けて「同一労働同一賃金」が定められました。

つまり人材派遣としてバイオ系研究領域に職に従事する場合、雇用期間には定めがあります。一方で雇用期間中は同一労働同一賃金においてポジションに適した十分な待遇が保障されていることになります。また派遣会社やエージェントからのサポートもある点も安心材料といえるでしょう。

社員登用を前提に働く「紹介予定派遣」

紹介予定派遣とは、最長6カ月の派遣就業後、本人と派遣先企業が合意することで直接雇用化される仕組みです。紹介予定派遣の最大のメリットは、一定期間派遣先で働くことで自分の適性や希望に合っているか見極めてから、その企業に雇用されるか決められる点が挙げられます。派遣期間は「試用期間」に近い意味合いがあり、一方の派遣先企業側も派遣社員を必ず雇用しなければならない義務はありません。

派遣期間後、双方の合意があれば企業によって直接雇用されますが、契約形態は正社員とは限らない点に注意が必要です。契約社員として雇用されるケースもあります。また、直接契約時の条件は派遣期間と異なる場合もあるため、きちんと条件を確認することは必須です。紹介予定派遣では、そうした条件交渉も派遣会社が代行してくれるため、自分で直接は伝えにくいことも納得のいくまで話し合える点もメリットといえるでしょう。

派遣会社で雇用される「正社員型派遣」

正社員型派遣において、派遣会社はスタッフと期間を定めない雇用契約を締結し、本人は派遣先企業で業務に従事します。上述した一般的な派遣での雇用期間には最長3年の定めがありますが、正社員型派遣では常時雇用契約を結んでいるため、双方とも合意していれば定年まで働き続けられます。

正社員型派遣は、派遣と正社員の「いいとこどり」をしたような働き方であり、C&R社ではプロフェッショナル社員(無期雇用社員)と呼んでいます。しかし、デメリットとしては、あくまでも派遣会社の常時雇用であるため、ずっと同じ派遣先で働けるとは限らない点が挙げられます。つまり、いずれ派遣先で自分の専門分野の研究ができないこともあり得るということを念頭に置いておく必要があるでしょう。

バイオ系研究職が派遣で働くメリット・デメリット

試験管とピペットを使った研究の様子

一般的に就職先として派遣よりも正社員のほうが、安定的な雇用であるとみなされています。しかし、バイオ系研究職に関してはそうとも言い切れないところがあります。バイオ研究領域への就職実現手段として、派遣という就労形態が能動的に選択されるケースもあります。バイオ系研究者にとっての派遣との親和性はどこにあるのでしょうか。今後バイオ系研究職への就職を考えている方が押さえておきたい派遣で働くメリットとデメリットを説明します。

メリット1:職務内容が明確で研究に集中できる

派遣の場合、あらかじめ派遣会社から発行される「就業条件明示書」に基づき、職務内容の範囲で業務を遂行します。そのため特定のプロジェクトに特化して経験を積むことが可能で、多様な研究や業界の知識を身につけることができます。

また、異なる研究機関や企業での勤務経験を通じて、自分に合ったキャリアパスを探る手段としても最適です。その期間を通じて必要なスキルを獲得し、専門性を高めることで希望する企業への就職や好条件の仕事に就く足掛かりにもなり得ます。バイオ系研究職では、分野ごとに異なる知識・スキルが求められることから、特定の分野に特化して経験を積むことで、自身だけの強みを作り出すこともできるでしょう。

メリット2:困ったことがあった際に派遣会社が仲介してくれる

派遣社員が雇用契約を結んでいるのは派遣会社です。そのため派遣先でトラブルが生じた場合も、派遣会社が直接交渉してくれます。正社員であれば、賃金や休暇などの労働条件に関して契約書に記載されている内容と矛盾している場合は自分で交渉する必要がありますが、派遣であればその心配は軽減します。また、職場の雰囲気・人間関係が合わない場合にも、派遣会社が仲介してくれるのは心強いでしょう。

デメリット1:給与やキャリアUPの機会は正社員に比べ少ない

バイオ研究職が派遣で働くデメリットは、給与やキャリアアップの機会が正社員に比べて少ない点です。特に最長3年の定めがある一般派遣に対して、積極的に投資し、給与やキャリアアップをサポートしようとする企業は少ないでしょう。あくまでも派遣社員としてのキャリアを積むことになります。

デメリット2:業務範囲やスキル(経験)向上において限定的

派遣は業務範囲やスキル・経験向上においても正社員に比べて限定的です。特に一般派遣の場合は、正社員の研究のサポート業務が多く、自分が企画・立案したり、研究の方向性を決めたりすることに参画する機会は少ないといえます。

もっとも、いずれ正社員として直接契約することを前提にした紹介予定派遣や、正社員型派遣は長期の雇用を予定しているため、意思決定やマネジメントに関わるなど、キャリアアップの機会が開けることもあります。

派遣のワークプランをエージェントが指南

派遣エージェントによる面談の様子

バイオ系研究職を希望する求職者が派遣という就業形態を希望するとしても、それぞれ理想とする働き方は異なります。派遣の自由度を大切にして、限られた研究でも良しとする方もいれば、派遣ではあっても正社員に近い、裁量の大きい仕事をしてキャリアアップを目指したい方もいるでしょう。

こうしたそれぞれの求職者の希望を踏まえた上でマッチングを実現するのがエージェントの仕事です。バイオ系研究職を希望する求職者は活用を検討してみましょう。エージェントを利用することで生まれる価値、メリットについて説明します。

企業側からの評価をフィードバックしてくれる

エージェントを利用する場合、まずは求職者との面談の機会が設けられます。その面談を通じて、バイオ系企業が求職者をどのように見ているか、客観的な視点を提供してくれます。新卒であっても、転職希望者であっても、エージェントを利用することで自分の市場価値を知ることができるのです。

それぞれの求職者に合ったアドバイスがもらえる

エージェントはバイオ系企業のニーズを踏まえた上で、どのような戦略で求職活動を行うべきか、個別のアドバイスをしてくれます。例えば、求職者の専門にマッチした派遣業務を紹介してくれたり、今後やりたい分野を踏まえた就職・転職に関してアドバイスをしてくれたりします。事前に過去の研究内容や自分の希望を伝えておくことで、その方向性での企業とのマッチングの道も模索してくれるでしょう。

専門特化したエージェントは業界事業にくわしい

就職・転職のマッチングをサポートするエージェントもさまざまです。もし、バイオ系研究職を希望している場合は、複数の業界を担当するエージェントよりも、バイオ系に特化したエージェントを選ぶことをおすすめします。バイオ系の研究職は非常に専門性が高く、同一の分野の中でも研究対象により異なる知識やスキルが求められるため、より事業に精通したエージェントを選びたいところです。

まとめ~バイオ系研究職の派遣ならエージェント活用を

研究職の派遣ならエージェント活用を

【バイオ研究職での就職・転職エージェント活用のまとめ】
・バイオ系研究職の3つの派遣の違いを知ることが大切
・派遣で働くことはメリット・デメリットの両面がある
・エージェント活用で派遣ワークの可能性が広がる

バイオ系研究職では正社員以外にも派遣という就労形態を視野に入れることで、就職の可能性が高まることが分かりました。その場合、雇用に期限の定めのある人材派遣、正社員としての雇用を前提とした紹介予定派遣、また派遣会社で雇用される正社員型派遣の3つのタイプがあることを押さえておくことが大切です。

派遣は安定性や業務の裁量の広さ、昇進や昇給のチャンスにおいては正社員には及びません。しかし、研究以外のミーティングなどのために割く時間が少なく、担当する研究領域の業務にフォーカスできるなどのメリットは魅力でしょう。

一口に派遣といっても、さまざまなグラデーションがあります。それぞれの希望にあったバイオ系研究職を派遣で見つけたい場合は、業界に特化したエージェントの利用をぜひ検討してみましょう。

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